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東京地方裁判所 昭和63年(特わ)150号 判決 1988年3月25日

主文

被告人を懲役四月に処する。

この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

被告人を補導処分に付する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、売春をする目的で、昭和六三年一月二四日午後八時二六分ころ、東京都新宿区大久保一丁目一七番五号先路上において、通行人Aに対し、「私一人よ。一万五〇〇〇円でいいことしよう。遊びましょう」などと申し向けて誘い、もつて、公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘したものである。

(証拠の標目)《省略》

(法令の適用)

罰条 売春防止法五条一号

刑種の選択 懲役刑

刑の執行猶予 刑法二五条一項

補導処分 売春防止法一七条一項

(補導処分に付した理由)

被告人は、前科はないけれども、昭和五一年に売春防止法違反罪により保護観察処分を受けたほか、昭和五一年、昭和五九年(二回)、昭和六〇年にいずれも同罪により合計四回逮捕され、うち一回が不処分、三回が起訴猶予処分となっており、更に昭和六一年には窃盗罪(いわゆる枕探し)により逮捕され、同じく起訴猶予処分になった前歴があること、起訴猶予処分の都度、福祉事務所において婦人相談員の世話を受けるように配慮を受けたが、同事務所の指導、援護に服さなかったこと、未成年のころから親許を飛び出し、両親とも疎遠で、親許には戻りたくない旨を表明していること、婚姻歴はないが、昭和五六年と昭和六一年にいずれも父親不明の男子各一名を出産し、生後間もなく児童相談所の手に委ねていること、本件犯行の二週間程前から知人の男性方に居住し、定職もなく、専ら売春によって生活費等を得ていたことなどの事情を考慮し、被告人を補導処分に付するのが相当と判断した次第である。

(公判出席検察官友枝眞卿、求刑懲役四月、補導処分)

(裁判官 服部悟)

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